新書の中の言葉
ー撮影前に錦之介さんを誘って祇園に飲みに行って、「チャンバラってどうしたらいいんだろうね」と聞きました。
そしたら、「まあ、あんなもの、来るやつ斬りゃいいんだ」って簡単な理屈を言うんですよ。「主役は上手く刀を振ってさえいれば、カラミ(切られ役専門の役者)が上手く切られてくれる。あとは、彼らと呼吸さえ合わせられればチャンバラは大丈夫だ」と。それを聞いて随分と気が楽になりましたね。
その「斬る」型の基本は「漢字の『米』を書くことだ」って言うわけです。まず、構えてから斜めに切り上げ、返す刀で斜めに切り下す。そして真横から斬り、最後は真上から切り下す。そうやって「米」の字を描くイメージで斬っていくと、綺麗な型になるということでした。
PR誌の中の言葉
ー肝臓がん・肝硬変の女性の方でしたが、吐血したんですね。余命があと一〜二週間という方。そうすると家族がわっと集まって(動揺して)、もうこれ以上は無理だ、お母さんが倒れてしまう。だから、入院させましょう、入院すると安心だって言う。自分たちが安心なんです。だから「救急車を呼ぼう」ということになるんです。そこで「入院させると安心って誰が安心ですか。みなさんが安心なんですか」。もう少し突っ込んで「じゃ本人にとってはどうでしょう」と問います。「病院に行っても、病気そのものは治らないので病状は変わらない。でも病院に行ったらどうなるかつていうと、患者さんにとっては家族から離されるという孤独を背負わされることになります−」
「いのちを受けとめる磁場ー在宅ホスピス医の立ってる場所」米沢慧
「グラフィケーション」NO184