「てんとう虫」 3月号の中の言葉

昨年の暮れ、小沢昭一さんが亡くなりました。その少し前に森光子さんや中村勘三郎さんが・・その度にテレビは、「天国にいる森さん」とか「天国にいる勘三郎さん」とか大騒ぎしていましたね。キリスト教とかイスラム教のような一神教なら、神様は天国にいま…

文庫本の中の言葉

ーひとは思春期とともに「言葉」に出会う。肉体の成長・変化を迎えて、あわてふためき、ほとんどドロナワ式に「言葉」を用意する。しかし、死臭のただよう祖母の病床の枕もとで本をよみあさり、辞書を本のようにして読んで育った少年にとって、たしかになに…

雑誌の中の言葉

ー「もしも『我々は何者か』という命題を幼稚園児から聞かれたとしたら、藤井さんは何と答えますか?」 「世界の一部ですね。個というものはない。本来は、たぶん境界がないはずなんです。もしかしたら人以外の生き物、もしくは高次霊長類以外は、境界という…

本の中の言葉

ー「猥褻」はむしろ、表現されざるもの、見えざるもの、かくされたもののなかにあるのではないか。 そして、それらと対応する人間の心のなかにあるのだ。 大胆に言えば、心の中にタブーを持つ人間ほど「猥褻」を感じるのである。子供は何を見ても「猥褻」を…

リーフレットの中の言葉

ー舞踏なんかを知る前に、能を観ていた事があったんですけれど、銕仙会で、「船弁慶」という、少年が義経役でそれを弁慶が平家の悪霊から守るというストーリーですが、その義経役の少年が初めて舞台に出たもので、舞台の上で吐いちゃったんですよ、それで結…

新書の中の言葉

ーもし死ぬ時に「女優さんの共演者で一番誰に惚れたか」と聞かれたら、それは夏目雅子さんです。 女性としても女優としても、どちらも魅力のある方って少ないんですが、彼女は女優としてだけでなく女性として、人間として魅力的でした。『鬼龍院花子の生涯』…

新書の中の言葉

ー女優としても女性としても魅力的であることって、なかなか難しいことなんですよ。女優さんってね、全部が全部そうじゃないですけど、「世の中には男と女と女優しかいない」なんて至言を吐いた人もいるぐらいで。男優ってのはいないんです。男の俳優はやや…

新書の中の言葉

ー撮影前に錦之介さんを誘って祇園に飲みに行って、「チャンバラってどうしたらいいんだろうね」と聞きました。 そしたら、「まあ、あんなもの、来るやつ斬りゃいいんだ」って簡単な理屈を言うんですよ。「主役は上手く刀を振ってさえいれば、カラミ(切られ…

新書の中の言葉

ー現実を説明すると称して、分かりやすい筋立てを作り、全体を見渡せる人物や立場を設定し、未来への処方箋を教えてくれるのは、たくさんの観客から金を吐き出させるために作られた「メインストリームの」映画や、「社会全体」を説明し理論化できると称する…

本の中の言葉

ー僕はこれからの人生でなにか愚行を演ずるかもしれない。そして日本じゅうの人がばかにして、もの笑いの種にするかもしれない。まったく蓋然性だけの問題で、それが政治上のことか、私的なことか、そんなことはわからないけれども、僕は自分の中にそういう…

文庫本の中の言葉

かつてモハメド・アリはこう言った。 「死に物狂いの練習に耐え抜いてきた者こそが、厳しい互角の勝負において、心の底まで降りて行って、勝利に必要な一オンスの勇気を持ってくることができる」 「『黄金のバンタム』を破った男」 百田尚樹 PHP文芸文庫

PR誌の中の言葉

ー肝臓がん・肝硬変の女性の方でしたが、吐血したんですね。余命があと一〜二週間という方。そうすると家族がわっと集まって(動揺して)、もうこれ以上は無理だ、お母さんが倒れてしまう。だから、入院させましょう、入院すると安心だって言う。自分たちが…

本の中の言葉

説明なぞ必要だとは思わないんだ。絵画であれ、詩のような他の芸術の分野であれね。詩とか絵を説明することが出来るとは思えないんだよ。たとえば、ピカソは絵画を語ることがとても上手だった。彼は絵画についてあらゆる知的なことを言った。でもその彼だっ…

本の中の言葉

説明なぞ必要だとは思わないんだ。絵画であれ、詩のような他の芸術の分野であれね。詩とか絵を説明することが出来るとは思えないんだよ。たとえば、ピカソは絵画を語ることがとても上手だった。彼は絵画についてあらゆる知的なことを言った。でもその彼だっ…

本の中の言葉

偉大な芸術は、人間が置かれている状況がいかにもろいかを必ず思い出させてくれます。 「肉への慈愛ーフランシス・ベイコン・インタビュー」筑摩書房

本の中の言葉

通じないことがわかっていて話す馬鹿はいない。通じそうなところを通じそうに語ろうとする。知恵を働かすのだ。つまり、通じにくそうなところは馬鹿になる危険があるので避ける。したがって、われわれは普段、通じやすい話題か、通じやすくした話だけをしゃ…

週刊誌の中の言葉

平田 まず、「今の若者はー」と言っている主な層は、中高年の男性だということです。つまり、彼らにとってのコミュニケーション能力を、今の若者たちは持っていない。でも、必要とされるコミュニケーション能力は、文化や時代によって変わっていくんです。だ…

週刊誌の中の言葉

ー「あいつのことを説明するのはとてもむずかしい」と言われるやつになりたい。影響を受けやすい人でありたい。 踊っているとき、頭のなかで、物事が最も速く流れている。このときが自分の一番好きな状態で、それが踊っているときなんですね。 だから僕の踊…

文庫本の中の言葉

ハイデガーは死を「不可能性の可能性」とか「追い越しえない可能性」などと呼んでいますが(『存在と時間』)、このように曖昧かつ難解(そう)な表現を使うのがハイデガーの悪い癖で、彼が言いたいことは、ただ死の場合には、−他の未来の事柄と異なりーあと…

週刊誌の中の言葉

『華麗なるギャッツビー』の中で青年が「結局、一つの窓から外を眺めているほうが世界のことがよくわかる」と言っていますが、僕にとっての映画がまさにその「一つの窓」なんです。いろんな視点で何かを見るよりも映画を通して物事を考え、撮っている最中に…

冊子の中の言葉

歴史的には、89年6月7日にジャン・ラニアによって「ヴァーチャルリアリティ」という言葉が初めて使用されます。計算機で表現された三次元空間の中に入って、さまざまな体験をすることが「ヴァーチャルリアリティ」という言葉で語られたわけです。私はこ…

文庫本の中の言葉(2)

いい人生とは何だろう。私たちは常に別々の方法論、アプローチで、それぞれに目的をかかげていい人生を希求している。カネ、オンナ、権力、健康、ささやかな幸せ、心の平安、子供の健全な発育・・・、現実的には別々のかたちをとりつつも、本質的に求めてい…

文庫本の中の言葉

自然が人間にやさしいのは、遠くから離れて見た時だけに限られる。長期間その中に入り込んでみると、自然は情け容赦のない本質をさらけ出し、癒しやなごみ、一体感や快楽といった、多幸感とはほど遠いところにいることが分かる。 「空白の五マイルーチベット…

文庫本の中の言葉

ことばは沈黙を引きしたがえることによってはじめて言語表現として屹立し、沈黙はことばとの緊張関係のなかではじめて意味のふぃくらみを手にいれる。 「言葉への道」 長谷川宏 講談社学術文庫 *芝居のセリフなんか、間の沈黙で表現してるもんだから実感と…

新書のなかの言葉

そもそも人間は有機物でできている。有機物とはカーボン(炭素)を主体とした化合物だから、人間はカーボンと相性がいい。紙もカーボンであり、本は紙に限るのである。 「本は、これから」池澤夏樹編 岩波新書 「本の棲み分け」池内了 *なるほどー!素材と…

本の中の言葉

世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。「悲しき熱帯」レヴィー=ストロース 川田順造訳 中央公論新社 *今日、卒業生の結婚式に出席した。そうしたら、なんと、彼女のお父さんは、川田順造さんだった!おどろいた!

本の中の言葉

芸術家とは生物学的な遺伝と、技術的な革新によってつくられた環境とのあいだに架橋する手段を発明する人間のことである。「メディアの法則」 マーシャル・マクルーハン+エリック・マクルーハン 訳中澤豊 NTT出版

本の中の言葉

フーコーは、死は生とは全然別の次元というか問題というか、生まれてから死ぬまで全部を照らして見ることができる場所に死というのはあると言った。これは非常にいい考えかただと僕は思います。 「老いの超え方」 吉本隆明 朝日文庫

本の中の言葉

清水 前に黒井千次さんと対談したときに、小説家から見れば戯曲家は断念がものすごく多いんじゃないかって言われた。確かに向こうは自分の文章だけで完結するわけですよ。ぼくらのは、戯曲書いたあと、演出家に委ねて、最後俳優が声を出し動いていく、そうい…

週刊誌の中の言葉

女たちにとっての「容姿」は、自分の価値に直結している。なんだかんだ言っても美人には高い値段がつくことを我々は身をもって知っているのだ。 それは確かに「商品価値」に過ぎず、本人の「人間としての価値」とはまた別の問題であろうが、物心ついた時から…