ハガキの中の言葉

夢みたことはすべて実現した。 それなのに人生の落伍者の気分なのはなぜだろう。 −ウディ・アレン ドキュメンタリー映画「映画と恋とウディ・アレン」の試写状。

文庫本の中の言葉

−もちろん、『愛のゆくえ』の図書館も、その図書館に置くためのたった一冊の本を書く無名の「作者」も実在しない。しかし、そんな場所は、どこかにあり、それほどまでに孤独な人たちは、どこかに必ず存在するのである。 ブローティガンは、その「孤独」を知…

週刊誌の中の言葉

ーイチローは野球をビジネスとして捉え、自らの商品価値をいかに高めるかに腐心しているのである。野球を終えたあとの次のビジネスへの布石なのだろう。そう思えばイチローの記者会見でのコメントは計算と思惑に満ちていることがわかる。反して松井はどうか…

新書の中の言葉

−「さらば」「さようなら」とは、本来「然あらば」「さようであるならば」ということで、「前に述べられた事柄を受けて、次に新しい行動・判断を起こそうとするときに使う」とされた、もともと接続の言葉です。「日本人はなぜ『さゆうなら』と別れるのか」 …

本の中の言葉

清水 −ただ、昔の作品を読むと、変な見方をしているなとか、いまだったらこう書かないと思ったりするけど、必ずしもいまの見え方がいいとは限らないからね。いまも不安定は不安定だよね。四十幾つになったらもうちょっと安定したものを書けているんじやない…

本の中の言葉

ーここで僕たちは、人間の本質は幽霊である、というテーゼに気づいたわけです。死後に幽霊の王国があるとして、たった八十年くらいしか生きていないこの世の人は小学校卒業くらいの幼稚な段階に留まっており、あの世に行ってようやく一人前になる。幽霊にな…

週刊誌の中の言葉

ー日本語の卑怯にあたる外国語は恐らくあるまい。世界が病んでいる一大原因は卑怯感覚の欠如にあるといっていい。父は幼い私に六つの禁じ手を教えた。一、大勢で一人をやっつける。二、強いものが弱い者をやっつける。三、男が女をやっつける。四、武器を手…

PR誌の中の言葉

「確かにイギリスでも、最近は教員不足のためにマザーグースを知らないアフリカやスペインなどからきた保育士や小学校の先生が増え、マザーグースが教えられていないと嘆く声も出てきています。しかしそれでも、親、あるいは学校の先生、友だちからの肉声で…

雑誌の中の言葉

佐藤 でも、最近思うのは、われわれは、「ちょうどいい便利」という域をとっくに超えてしまったんじゃないかということです。何事も人間にとって「ちょうどいい便利」という線があったような気がするんですが、いまはその線を越えてしまい、何事によらず身体…

雑誌の中の言葉

「私は流れ者みたいに書いている」「素浪人みたいに書いている」「世の中のはじっこで、地下鉄の吊り革にぶらさがって書いている」「毎回、誰かにさよならを言いながら書いている」「いま書いている」「ここで書いている」「書くのは鉛筆がいい」「間違った…

本の中の言葉

「人間は意識して生まれてくるわけではない。生まれてきて、しかるべき時を経てはじめて世界を、そして自分自身を意識する。この空白が、恐怖の源泉なのだ。」「出生の秘密」 三浦雅士 講談社

雑誌の中の言葉

「敵が自分の体の左側に切りかかるか、右側に切りかかるか、これを見分けて応じるのが、新陰流刀法の基本となる『目付』です。『目付』という用語の意味は、これによって明らかでしょう。無数の太刀路で、こちらの無数の部位に切りかかってくる相手を、左右…

インタビューの言葉

「小さなことを積み重ねていくことが、とんでもないところへ行く道なんだなあと」今日のニュースの中で、イチロー選手がかつて答えていた映像があった。

本の中の言葉

人をそしる心をすて豆の皮むく こんなよい月を一人で見て寝る 本がすきな児に灯があかるし 入れものが無い両手で受ける あらしがすっかり青空にしてしまった 尾崎放哉 「ポケット俳句」 童話屋刊

本の中の言葉

「−アマテラス(天照大神)のアマに『天』の漢字を宛てて天空の意としたのは八世紀初めの帰化人史管の誤りで、アマの本義は海の意が強い。海人(アマ)だとか天の鳥船(アマノトリブネ)だとかが好例である。アマノコヤネノミコト(天児屋根命)を天空で屋根…

本の中の言葉

「到底たどり着けないと思っていた小説の最後の地点に、自分が立っていると気づいた時のあの気持ちは、不思議としか言いようがない。思わず『あれっ』と声を漏らし、本当にこれを自分が全部書いたとは信じられず、あたりをきょろきょろ見回している。書いた…

本の中の言葉

「緑色とは本来的に死者に属する色なのだと、トリュフォーは説いている。豪奢にして人気のない納骨堂の祭壇に飾られた、無数の小さな光の集まり。その静謐と神秘には、『大人は判ってくれない』の一本の蝋燭以来、トリュフォーが内面に携え続けてきた炎のシ…

本の中の言葉

「−1640年代にレンブラントの工房にいたホーホストラーテンは、1678年『絵画芸術の高等画派への手引き』の中でこう言っている。 人が絵画のこのもっとも高貴な部門で名誉を得ようと欲するなら、おの れ自身を完璧に俳優に仕立てなければならない。 …

週刊誌の中の言葉

住吉 今だから明かせること、ありますか。 濱 オウム事件は解明されていない部分がいっぱいあるんですが・・そうですね、サリンを作ってるという根幹情報は、早い段階で入手してました。 住吉 えっ、どうやって? 濱 オウムが選挙に出た時期がありましたよね…

本の中の言葉

「映画的なテクニックを無にした書き方は、作品の根本を道端に置き去りにしたまま進んでいくようなものだ。脚本とは映画作品の青写真として成立するものでなければならず、そのためにはスクリーン上で見聞きされるものをきちんと表現していなければならない…

戯曲の中の言葉

平吉 「夜、凧を上げるにはこれくらいの風が一番面白い。」 塩子 「夜も上げるんですか?」 清二 「こんな闇夜じゃなにも見えないじゃないですか。」 平吉 「月夜だってほとんど見えない。」 清二 「なにが面白いんですか、そんなの。」 平吉 「なにも見えな…

本の中の言葉

「『面白い奴だな。わしを竹光で斬るつもりか。・・・・わしを竹光で斬るつもりか。面白い奴だな。・・・・どっちがいいかな』と、たまたま傍らに立っていた私に声をかけられたので、僭越ながら『後の方がいいと思いますが』とお答えした。 こういった言葉の…

本の中の言葉

「私が黒澤さんの家へ見舞に行った時のことである。 応接間に車椅子で出てきた黒澤さんに三船さんの容態が悪いことを伝えた。 黒澤さんは暫く黙っていたが、遠くを見るような眼で、言った。 『三船は本当によくやったよ。三船に会ったら、そう言って褒めてや…

本の中の言葉

「−ある日、母に死にそうだと泣き言を言った。 『死んで見せなさい。好きなことをやっているのだから、その中で死ねれば本望でしょう。まだ余裕があるからそんなことを言えるんだ。死にそうなんてことは死んでから言いなさい』 わかってはいたがやはり言われ…

新聞の中の言葉

「賢者の言葉を紹介した本が売れている。ゲーテやニーチェ、カフカといった先人の言葉をコンパクトにまとめたものが多い。こうした中、巷でよく聞きかれるのが『ゲーテは今から200年も前の人なのにこんなにすごいことを言っていたのか。驚きました』『ゲ…

雑誌の中の言葉

「−伊丹万作は、『戦争責任の問題』という文章を発表してこう書いた。 「『だまさせれていた』といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいないのである」 こ…

雑誌の中の言葉

「−記憶は保存されているというよりも、思い出すたびに電気が灯って再生されていると考えたほうがいい。つまり今つくられているものなのす。 その意味では、記憶は幻想です。『私は小さい頃の鮮やかな記憶を今でも覚えています』と人はよく言うけれど、その…

雑誌の中の言葉

「食べる時一所懸命食べるといいよ。 一所懸命、毎日を生きなさい。 未だに日常を大切にできない私への、それは、八十六年の生涯を十全に生ききった高峰秀子の遺言のように、今は思えてならない。 「高峰秀子の言葉 第十二回」斎藤明美 「波」7月号

詩集の中の言葉

「ー我々は言うだろう信じるところの人間は幸を得ると。 かの人はそのように宣言して 我は信じない何ものも。わけても『我々』という言葉を。 おれは返答した。 それはたいへん寒い。 かの人はそう呟いてからしばらく悲しそうに首を振っていたが 足をひきず…

戯曲の中の言葉

牧子「男って呑気なものですわね。いくつになっても空想があって・・・そして、その空想に相応した興奮があって・・・・」 「温室の前」岸田國士 ハヤカワ演劇文庫