2012-07-30 週刊誌の中の言葉 ー日本語の卑怯にあたる外国語は恐らくあるまい。世界が病んでいる一大原因は卑怯感覚の欠如にあるといっていい。父は幼い私に六つの禁じ手を教えた。一、大勢で一人をやっつける。二、強いものが弱い者をやっつける。三、男が女をやっつける。四、武器を手にする。五、相手が謝ったり泣いたりしてもやり続ける。六、弱い者がやっつけられているのに見て見ぬふりをする。そして父は、理由は何もない。卑怯だからだと付け加えた。− 週刊新潮8月2日号 「藤原正彦の管見妄語」