冊子の中の言葉

 歴史的には、89年6月7日にジャン・ラニアによって「ヴァーチャルリアリティ」という言葉が初めて使用されます。計算機で表現された三次元空間の中に入って、さまざまな体験をすることが「ヴァーチャルリアリティ」という言葉で語られたわけです。私はこのとき、言葉とはこれほどの力があるものなのだということを初めて実感しました。
 それまでは「三次元空間のインターフェース」であるとか、私たちはいろいろな言い方をしてきたのですが、この用語で「ああそうか」と腑に落ちたわけです。領域の命名は非常に重要なことで、研究者の意気込みには劇的な変化が起こったと思います。

 「LOOP−01」 廣瀬通孝 「VR技術の20年」

 
  *一つの言葉の登場が決定的な役割を果たすんだねー。反対に言葉が生まれない分野は停滞するかもしれない。言葉を生み出す能力のある分野は、人材に恵まれているということだね。