PR誌の中の言葉

ー肝臓がん・肝硬変の女性の方でしたが、吐血したんですね。余命があと一〜二週間という方。そうすると家族がわっと集まって(動揺して)、もうこれ以上は無理だ、お母さんが倒れてしまう。だから、入院させましょう、入院すると安心だって言う。自分たちが安心なんです。だから「救急車を呼ぼう」ということになるんです。そこで「入院させると安心って誰が安心ですか。みなさんが安心なんですか」。もう少し突っ込んで「じゃ本人にとってはどうでしょう」と問います。「病院に行っても、病気そのものは治らないので病状は変わらない。でも病院に行ったらどうなるかつていうと、患者さんにとっては家族から離されるという孤独を背負わされることになります−」

「いのちを受けとめる磁場ー在宅ホスピス医の立ってる場所」米沢慧
   「グラフィケーション」NO184