出発する場所

笑い死ぬ、という。憤死という。で、悲しみで死ぬという言葉が見当たらない。ということは、人は笑ったり怒ったりして死ぬことはあっても、悲しくて死ぬことはないのではないか。連れ合いが亡くなって、多くの人は本を書く。母を失ったロラン・バルトは「明るい部屋」を書いた。悲しみに遭遇すると、人は乗り越えようとして死んでる場合じゃない、と思うのではないだろうか。悲しみは表現の出発地なのかもしれない。