2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

本の中の言葉

いうまでもなく「前衛」とか「実験」とは近代的な劇形式や思考方法に対しての批判であり、より根源的な演劇批判である。おそらくその思考を実践しているのは、演劇以外のパフォーマーや、他ジャンルのアーティストたちかもしれない。むしろ演劇は先端意識に…

パンフレットの中の言葉

京都の東福寺という禅寺に三門というのがあります。これは空門、無相門、無作門といって、人間が悟りを開いて心おだやかに生活するために必要な3つのくぐらなければならない門を意味します。空門は物事には実体がない、すべてうつろい易いものであると悟る…

本の中の言葉

僕は太宰治という人が好きですが、なかでも一番好きな言葉は「平家ハ、アカルイ。(中略)アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」という実朝のせりふです。 これは『右大臣実朝』の中に出てくるのですが、僕がもっとも好き…

本の中の言葉

いま、世の中を見ていると、すべてが逆な方向に進んでいるような気になることがある。あまりにも常識的な「問い」と「答え」にあふれ、実は本当に考えるべきことを考えずに、考えなくてもいいことを考えているのではないか。滑稽ですらある。 「真贋」 吉本…

本の中の言葉

もし、私の死んでいる状態が無意識や失神状態に近いものであるなら、死とはそんなに特別に恐ろしいものではない。私たちはしばしば夢一つみずに熟睡します。 こうした考察を通じて容易にわかるように、死が恐ろしいのは、失神の場合には、あとでそれを私に帰…

本の中の言葉

人間は意識して生まれてくるわけではない。生まれてきて、しかるべき時を経てはじめて世界を、そして自分自身を意識する。この空白が、恐怖の源泉なのだ。 「出生の秘密」 三浦雅士 講談社

雑誌の中の言葉

ーインドネシアなど南方系の神話は、海の彼方に異界があるという水平的な構造を持つことが多いのですが、古事記の出雲神話でも海の彼方からやってくる神がいたりして、水平的な世界感を持っています。古事記と南方系の神話とのつながりが感じられるでしょう…

本の中の言葉

ー自画像は、それぞれの画家の、自分自身を相手とした内的な劇を表すばかりではなく、彼らそれぞれにとっての世界像もおのずから示している。 「自画像は語る」 粟津則雄 新潮社

本の中の言葉

大体、男は女性関係でも仕事でも、自分の値打ちを確認したいためなんだからね、相手を替えて褒められたりするのが好きで、男の原動力は見栄と嫉妬じゃないかと思うのは、歳をとった現在の私の感想です。「蜥蜴のしっぽーとっておき映画の話」 野上照代 文藝…

詩集の中の言葉

嫉妬は必要である。老いてくると嫉妬がなくなってくるが、これが怖い。情念があれば、嫉妬とのたたかいが必ず起こってくる。これを忘れてはなるまい。こんなことを言うと多くの人に嘲笑されるかもしれないが、鈴木孝さんにもつまはじきされるかもしれないが…

週刊誌の中の言葉

ー中国では古来、詩文を大事にしたが、それらを文字として視覚化することにも大きな意味があった。天意は文字となって金属器に刻まれ、優れた詩文は記されて歴史に残った。「文章は経国の大業にして、不朽の盛事なり」と言ったのは三国時代の魏王曹丕だが、…

本の中の言葉

映画『突然炎のごとく』がパリで公開されたとき、トリュフォーはヘレン(ヘッセル未亡人としてパリに住んでいた)から、「私は映画を見て、生涯の最も美しい瞬間を生き直した心地がします」という手紙をもらった。「ぜひお会いしたいのですが」というトリュ…

本の中の言葉

ーリュミエールの数々のめずらしい作品、たとえば「列車の到着」の別の版とか、セットで撮られた「女の喧嘩」(一八九六)とか「ギーズ公の暗殺」(一八九七)などの「演出された」作品を見ることができた。リュミエールの映画が、すでに、単にキャメラにう…

映画の中の言葉

「彼を殺すか、彼を殴るか、君と別れるか。・・・。どれも、君を失う」 「君に読む物語」 ニック・カサヴェテス監督