2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

本の中の言葉

映画史上初のヌードとして知られるジョルジュ・メリエス監督の「舞踏会の後の入浴」がーそのいかがわしさ以上に仮に美術における裸体像に相当するものとしてー1897年というのは、いかに映画=シネマトグラフの発明(1895年)から間もないとはいえ、…

本の中の言葉

「単なるノスタルジーではなく」という常套句があるように、ノスタルジーはうしろ向きと批判されることが多いが、市川準は、あえてノスタルジーにこだわる。ノスタルジーとは過去へ戻ることというよりは、あるべき過去を新たに作ることであり、それは東京の…

週刊誌の中の言葉

石井 私ね、お芝居も人生も、一番大事なのは‘甘え,を持たないことだと思うの。甘えないで、仕事や人間関係が成り立っていくのが大事。今の老人問題にしても、やっぱりある年代に来て、甘えがいっぱいあるんじゃないかって。で、私もなるべく甘えないように…

本の中の言葉

松浦ーたしかに画家は視覚性に開かれているかもしれないけれど、それ以上に反視覚的、非視覚的なもの、見えないものの領域に直面せざるをえない経験をもっています。ある何らかの目の前にあるものを写実的に描くという文脈を考えても、視覚という経験が発動…

本の中の言葉

ー舞台を「一枚の絵」と見るゲーテにとって、俳優はそのなかの「添景」である。絵画的効果を薄めることのないように、「俳優は舞台装置に近づきすぎてはならない」し、額縁内に劇が収まるためにも俳優は「前舞台にでるようなことは許されない」。俳優の身ぶ…

週刊誌の中の言葉

ー「復興の書店」(稲泉連著・小学館、1470円)は、「3・11」の大津波と福島原発事故で壊滅状態になった三陸と福島の街の本屋さんが絶望から立ち上がるまでのルポである。 これを読むと、「本は不要不急の商品」という常識が根本から崩される。全国か…

本の中の言葉

目の起源は、地球生命の場所、海においてだった。目の発生のきっかけは、行動をし始めた体に、絶えず光エネルギーが与えつづけられたことである。ゲーテが喝破したように、光という刺激が、対光器官の目を体から引き出したのである。「眼の不思議世界」 小町…

本の中の言葉

絵画の誕生について知られていることはほとんど何もない、と大プリニウスは「博物誌」第三十五巻一四で書いている。しかし、ひとつだけ確かなのは、人間の影の輪郭を初めて線でなぞったときに絵画が誕生したということである。西洋の芸術表象の誕生が「陰画…

新書の中の言葉

私が考えるいま必要な教養とは、たくさんの知識を身につけることではない。もちろん何も知らなくては困るが、もっと重要なことは、知識を自分の中で位置づけ、行動の指針となるような方向性を育てることだと思う。 「教養としての言語学」 鈴木孝夫 岩波新書

本の中の言葉

意味は、読解の対象にはならない。意味は、形姿を枠の外にはみ出させたり、迫りくる無限を使って後光を与えたり、枠を作り出す力ないしぼやけとして再度現れる。意味は、完全には諸形姿ないし諸要素の分節化ないし諸形態の構成から生じたり、結果として出て…

漫画の中の言葉

やせ我慢でなく ぼくは年をとるということは すばらしいと思う それこそ 新しい経験さ 思い出も喜びも 攻撃性も欲望も 静けさも 徐々に会得したものだ 若い日々の 行動を忘れてしまうことも 新しい経験だよ「ヘルタースケルター」 岡崎京子 祥伝社

個人詩誌の中の言葉

心木の枝が 空に向かって歩いているとしたら 心の枝はどうだろう個人詩誌「かねこと」第三号 新井啓子「心」 冒頭の部分。

文庫本の中の言葉

記録に徹した吉村氏の筆致の向こうから立ちのぼってくるのは、津波で死んだ人たちの声や,生き残ったとしてもなにも語らぬままこの世を去った人たちの声である。その人たちは、津波の恐ろしさを語るより、三陸の海の豊かさを語るようにも思われた。 彼らは「…

漫画の中の言葉

浅野すず「昼間の月ってけっこう好き なんか得した気分」 「海街diary2 真昼の月」 吉田秋生 小学館

PR誌の中の言葉

西川 映画を観た男性に「女の人が怖い」って言われたんですけれど「そう?こんなもんよ?」って思うんです。よく「可愛い」とか言って結婚した相手のことを数年後には「かみさんが怖い」って言う男の人がいますよね。勝手に騙されて勝手に怯えてるなあって思…

ハガキの中の言葉

夢みたことはすべて実現した。 それなのに人生の落伍者の気分なのはなぜだろう。 −ウディ・アレン ドキュメンタリー映画「映画と恋とウディ・アレン」の試写状。

文庫本の中の言葉

−もちろん、『愛のゆくえ』の図書館も、その図書館に置くためのたった一冊の本を書く無名の「作者」も実在しない。しかし、そんな場所は、どこかにあり、それほどまでに孤独な人たちは、どこかに必ず存在するのである。 ブローティガンは、その「孤独」を知…

週刊誌の中の言葉

ーイチローは野球をビジネスとして捉え、自らの商品価値をいかに高めるかに腐心しているのである。野球を終えたあとの次のビジネスへの布石なのだろう。そう思えばイチローの記者会見でのコメントは計算と思惑に満ちていることがわかる。反して松井はどうか…

新書の中の言葉

−「さらば」「さようなら」とは、本来「然あらば」「さようであるならば」ということで、「前に述べられた事柄を受けて、次に新しい行動・判断を起こそうとするときに使う」とされた、もともと接続の言葉です。「日本人はなぜ『さゆうなら』と別れるのか」 …

本の中の言葉

清水 −ただ、昔の作品を読むと、変な見方をしているなとか、いまだったらこう書かないと思ったりするけど、必ずしもいまの見え方がいいとは限らないからね。いまも不安定は不安定だよね。四十幾つになったらもうちょっと安定したものを書けているんじやない…

本の中の言葉

ーここで僕たちは、人間の本質は幽霊である、というテーゼに気づいたわけです。死後に幽霊の王国があるとして、たった八十年くらいしか生きていないこの世の人は小学校卒業くらいの幼稚な段階に留まっており、あの世に行ってようやく一人前になる。幽霊にな…