本の中の言葉

ーここで僕たちは、人間の本質は幽霊である、というテーゼに気づいたわけです。死後に幽霊の王国があるとして、たった八十年くらいしか生きていないこの世の人は小学校卒業くらいの幼稚な段階に留まっており、あの世に行ってようやく一人前になる。幽霊になってからが勝負。−

黒澤清の映画術」黒澤清 新潮社刊