2012-01-01から1年間の記事一覧

本の中の言葉

説明なぞ必要だとは思わないんだ。絵画であれ、詩のような他の芸術の分野であれね。詩とか絵を説明することが出来るとは思えないんだよ。たとえば、ピカソは絵画を語ることがとても上手だった。彼は絵画についてあらゆる知的なことを言った。でもその彼だっ…

本の中の言葉

偉大な芸術は、人間が置かれている状況がいかにもろいかを必ず思い出させてくれます。 「肉への慈愛ーフランシス・ベイコン・インタビュー」筑摩書房

本の中の言葉

通じないことがわかっていて話す馬鹿はいない。通じそうなところを通じそうに語ろうとする。知恵を働かすのだ。つまり、通じにくそうなところは馬鹿になる危険があるので避ける。したがって、われわれは普段、通じやすい話題か、通じやすくした話だけをしゃ…

週刊誌の中の言葉

平田 まず、「今の若者はー」と言っている主な層は、中高年の男性だということです。つまり、彼らにとってのコミュニケーション能力を、今の若者たちは持っていない。でも、必要とされるコミュニケーション能力は、文化や時代によって変わっていくんです。だ…

週刊誌の中の言葉

ー「あいつのことを説明するのはとてもむずかしい」と言われるやつになりたい。影響を受けやすい人でありたい。 踊っているとき、頭のなかで、物事が最も速く流れている。このときが自分の一番好きな状態で、それが踊っているときなんですね。 だから僕の踊…

文庫本の中の言葉

ハイデガーは死を「不可能性の可能性」とか「追い越しえない可能性」などと呼んでいますが(『存在と時間』)、このように曖昧かつ難解(そう)な表現を使うのがハイデガーの悪い癖で、彼が言いたいことは、ただ死の場合には、−他の未来の事柄と異なりーあと…

週刊誌の中の言葉

『華麗なるギャッツビー』の中で青年が「結局、一つの窓から外を眺めているほうが世界のことがよくわかる」と言っていますが、僕にとっての映画がまさにその「一つの窓」なんです。いろんな視点で何かを見るよりも映画を通して物事を考え、撮っている最中に…

冊子の中の言葉

歴史的には、89年6月7日にジャン・ラニアによって「ヴァーチャルリアリティ」という言葉が初めて使用されます。計算機で表現された三次元空間の中に入って、さまざまな体験をすることが「ヴァーチャルリアリティ」という言葉で語られたわけです。私はこ…

文庫本の中の言葉(2)

いい人生とは何だろう。私たちは常に別々の方法論、アプローチで、それぞれに目的をかかげていい人生を希求している。カネ、オンナ、権力、健康、ささやかな幸せ、心の平安、子供の健全な発育・・・、現実的には別々のかたちをとりつつも、本質的に求めてい…

文庫本の中の言葉

自然が人間にやさしいのは、遠くから離れて見た時だけに限られる。長期間その中に入り込んでみると、自然は情け容赦のない本質をさらけ出し、癒しやなごみ、一体感や快楽といった、多幸感とはほど遠いところにいることが分かる。 「空白の五マイルーチベット…

文庫本の中の言葉

ことばは沈黙を引きしたがえることによってはじめて言語表現として屹立し、沈黙はことばとの緊張関係のなかではじめて意味のふぃくらみを手にいれる。 「言葉への道」 長谷川宏 講談社学術文庫 *芝居のセリフなんか、間の沈黙で表現してるもんだから実感と…

新書のなかの言葉

そもそも人間は有機物でできている。有機物とはカーボン(炭素)を主体とした化合物だから、人間はカーボンと相性がいい。紙もカーボンであり、本は紙に限るのである。 「本は、これから」池澤夏樹編 岩波新書 「本の棲み分け」池内了 *なるほどー!素材と…

本の中の言葉

世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。「悲しき熱帯」レヴィー=ストロース 川田順造訳 中央公論新社 *今日、卒業生の結婚式に出席した。そうしたら、なんと、彼女のお父さんは、川田順造さんだった!おどろいた!

本の中の言葉

芸術家とは生物学的な遺伝と、技術的な革新によってつくられた環境とのあいだに架橋する手段を発明する人間のことである。「メディアの法則」 マーシャル・マクルーハン+エリック・マクルーハン 訳中澤豊 NTT出版

本の中の言葉

フーコーは、死は生とは全然別の次元というか問題というか、生まれてから死ぬまで全部を照らして見ることができる場所に死というのはあると言った。これは非常にいい考えかただと僕は思います。 「老いの超え方」 吉本隆明 朝日文庫

本の中の言葉

清水 前に黒井千次さんと対談したときに、小説家から見れば戯曲家は断念がものすごく多いんじゃないかって言われた。確かに向こうは自分の文章だけで完結するわけですよ。ぼくらのは、戯曲書いたあと、演出家に委ねて、最後俳優が声を出し動いていく、そうい…

週刊誌の中の言葉

女たちにとっての「容姿」は、自分の価値に直結している。なんだかんだ言っても美人には高い値段がつくことを我々は身をもって知っているのだ。 それは確かに「商品価値」に過ぎず、本人の「人間としての価値」とはまた別の問題であろうが、物心ついた時から…

戯曲の中の言葉

清二 一度聞いてみたかったんだけど、なにが塩子さんの神経をおかしく したというか、さいなんだというか・・・それは、男性関係? 塩子 ・・・そうじゃないわ、・・男性じゃなかった・・・女優という仕 事よ。 清二 そんなに大変なもの? 塩子 それにむいて…

本の中の言葉

いうまでもなく「前衛」とか「実験」とは近代的な劇形式や思考方法に対しての批判であり、より根源的な演劇批判である。おそらくその思考を実践しているのは、演劇以外のパフォーマーや、他ジャンルのアーティストたちかもしれない。むしろ演劇は先端意識に…

パンフレットの中の言葉

京都の東福寺という禅寺に三門というのがあります。これは空門、無相門、無作門といって、人間が悟りを開いて心おだやかに生活するために必要な3つのくぐらなければならない門を意味します。空門は物事には実体がない、すべてうつろい易いものであると悟る…

本の中の言葉

僕は太宰治という人が好きですが、なかでも一番好きな言葉は「平家ハ、アカルイ。(中略)アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」という実朝のせりふです。 これは『右大臣実朝』の中に出てくるのですが、僕がもっとも好き…

本の中の言葉

いま、世の中を見ていると、すべてが逆な方向に進んでいるような気になることがある。あまりにも常識的な「問い」と「答え」にあふれ、実は本当に考えるべきことを考えずに、考えなくてもいいことを考えているのではないか。滑稽ですらある。 「真贋」 吉本…

本の中の言葉

もし、私の死んでいる状態が無意識や失神状態に近いものであるなら、死とはそんなに特別に恐ろしいものではない。私たちはしばしば夢一つみずに熟睡します。 こうした考察を通じて容易にわかるように、死が恐ろしいのは、失神の場合には、あとでそれを私に帰…

本の中の言葉

人間は意識して生まれてくるわけではない。生まれてきて、しかるべき時を経てはじめて世界を、そして自分自身を意識する。この空白が、恐怖の源泉なのだ。 「出生の秘密」 三浦雅士 講談社

雑誌の中の言葉

ーインドネシアなど南方系の神話は、海の彼方に異界があるという水平的な構造を持つことが多いのですが、古事記の出雲神話でも海の彼方からやってくる神がいたりして、水平的な世界感を持っています。古事記と南方系の神話とのつながりが感じられるでしょう…

本の中の言葉

ー自画像は、それぞれの画家の、自分自身を相手とした内的な劇を表すばかりではなく、彼らそれぞれにとっての世界像もおのずから示している。 「自画像は語る」 粟津則雄 新潮社

本の中の言葉

大体、男は女性関係でも仕事でも、自分の値打ちを確認したいためなんだからね、相手を替えて褒められたりするのが好きで、男の原動力は見栄と嫉妬じゃないかと思うのは、歳をとった現在の私の感想です。「蜥蜴のしっぽーとっておき映画の話」 野上照代 文藝…

詩集の中の言葉

嫉妬は必要である。老いてくると嫉妬がなくなってくるが、これが怖い。情念があれば、嫉妬とのたたかいが必ず起こってくる。これを忘れてはなるまい。こんなことを言うと多くの人に嘲笑されるかもしれないが、鈴木孝さんにもつまはじきされるかもしれないが…

週刊誌の中の言葉

ー中国では古来、詩文を大事にしたが、それらを文字として視覚化することにも大きな意味があった。天意は文字となって金属器に刻まれ、優れた詩文は記されて歴史に残った。「文章は経国の大業にして、不朽の盛事なり」と言ったのは三国時代の魏王曹丕だが、…

本の中の言葉

映画『突然炎のごとく』がパリで公開されたとき、トリュフォーはヘレン(ヘッセル未亡人としてパリに住んでいた)から、「私は映画を見て、生涯の最も美しい瞬間を生き直した心地がします」という手紙をもらった。「ぜひお会いしたいのですが」というトリュ…