文庫本の中の言葉

 自然が人間にやさしいのは、遠くから離れて見た時だけに限られる。長期間その中に入り込んでみると、自然は情け容赦のない本質をさらけ出し、癒しやなごみ、一体感や快楽といった、多幸感とはほど遠いところにいることが分かる。

 「空白の五マイルーチベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑むー」
  角幡唯介  集英社文庫

 *「自然はいいねー」などと言ってるのは、人工の別荘地とか、温泉とか、観光地の風景。自然なんかじゃない。