本の中の言葉

清水 前に黒井千次さんと対談したときに、小説家から見れば戯曲家は断念がものすごく多いんじゃないかって言われた。確かに向こうは自分の文章だけで完結するわけですよ。ぼくらのは、戯曲書いたあと、演出家に委ねて、最後俳優が声を出し動いていく、そういったことに渡していくことが、ひとつの断念によって支えられていると思う。ただ、いい状態の場合、いつも断念の淵でふしぎな燃焼をしいられる、演劇の器としてのきびしさを知るとういか。
 「清水邦夫の世界」白水社