本の中の言葉

ー僕はこれからの人生でなにか愚行を演ずるかもしれない。そして日本じゅうの人がばかにして、もの笑いの種にするかもしれない。まったく蓋然性だけの問題で、それが政治上のことか、私的なことか、そんなことはわからないけれども、僕は自分の中にそういう要素があると思っている。ただ、もしそういうことをして、日本じゅうが笑った場合に、たった一人わかってくれる人が稲垣さんだという確信が、僕にはあるんだ。ー
  「三島由紀夫おぼえがき」 澁澤龍彦 立風書房  対談・三島由紀夫澁澤龍彦「タルホの世界」