雑誌の中の言葉

「凝り凝りと固まることを『ここり』、それが『こころ』に転じたそうなのである。つまり『こころ』とはもともと実体ではなく状態を指しているのだ。『こころが固まる』などとよくいわれるが、『こころ』が固まるのではない。固まること自体が『こころ』なのである。明治時代に増刊された『俚言集覧』にも『こころハ凝凝の約なりといふ 凝り考へるハ心の体なり』(名著刊行会 昭和53年)とある。やはり『こころ』は凝り凝りで、凝り固まって考える様こそ『こころ』らしい。」
「波」6月号 「とかなんとか言語学高橋秀実