小説の中の言葉

 ポール・オースターの「幻影の書」。
「白いスーツを着た男が道をやって来たとたん、そのスーツが男をいまにもトラブルに陥れようといることを我々は悟のだ」
 無声映画の喜劇役者はなぜ白いスーツを着ているのか。ということがよくわかる。映画は白いスーツが必要なのだ。血がひろがったり、ソースがぶちまけられたり、泥まみれになったり、美しい枝や葉っぱの影が映ったり。白いスーツは映画の中の、もうひとつのスクリーンなのだ!