文庫本の中の言葉

「−彼は思う。何が起きたかを書いたところで、本当に何が起きたのかが伝わりはしないのだ。報告書を書く経験においてはじめて、彼は、言葉がかならず役に立つとは限らないということを思い知る。伝えようとしている事物を、言葉が見えにくくしてしまうことも…

本の中の言葉

「月は夢想を誘う天体であり、その表面は銀色の鏡、あるいはレンズ、いや映写機の電灯の光の束を反射する凹面鏡だ。映写機から放たれるのは、時間を旅した末に白い銀幕にたどり着く月光めいた光だ。それが照らし出すのは、影絵芝居だ。そこに映し出される現…

本の中の言葉

「美女は二度死ぬのだそうだ。一度目は美を失ったとき。二度目はほんものの死。男性にとっては、性愛の対象であるべき女性が、無残に老いさらばえる事実ほど恐怖と嫌悪を感じるものはないのだろう。」「怖い絵」ジョルジョーネ『老婆の肖像』 中野京子著

本の中の言葉

「わたしたちは情報洪水の社会に生きているから、何かを<見る>前に、すでに<見せられ>てしまっている。そういう現実から出発せざるをえない。これは演劇をとりまくジャーナリズムと深く関連してくるのだが、現在の劇現場はおしなべてジャーナリズムと共…

雑誌の中の言葉

「凝り凝りと固まることを『ここり』、それが『こころ』に転じたそうなのである。つまり『こころ』とはもともと実体ではなく状態を指しているのだ。『こころが固まる』などとよくいわれるが、『こころ』が固まるのではない。固まること自体が『こころ』なの…

芝居の中の言葉

「いつかこの恋も、懐かしい思い出に変わる」 ミュージカル「アスペクツ オブ ラブ」劇団四季まあ、すべては思い出になるよね。すべて出会った人とは別れるのだから。

本の中の言葉

「恋をしている時は楽しくて 愛している時は、苦しい」 「恋の蛍 山崎富栄と太宰治」松本侑子著の、山崎豊栄の日記。

本の中の言葉

「十年ぐらい前からでしょうか、自分の年齢が、今、何歳なのか、ふとわからなくなることがあります。 本当の年齢をごまかしたいとか、齢をとったことを認めたくないというわけではありません。自分が今、何歳かということが私にとってはそれほど大事なことで…

週刊誌の中の言葉

「ー海外のシーズもテクノロジーも秀れているが、それらを日本の風土や美意識やユーザビリティにあわせて編集し、意匠を加え、おいしいものや使い勝手のいいものにするのが日本の仕事なのである。」 松岡正剛「百辞百物百景」週刊ポスト5.18号

本の中の言葉

「舞台芸術は、その表現の生命を、生成と同時に消滅していくところにおいている。またその素材を、生きた人間とするところで成りたたせる。いわばわれわれの生の<宇宙=永遠>の中の<一瞬>に対する抗いを基底とした表現形式ではないだろうか」 太田省吾 …

今日聞いた言葉

多摩美の守衛さんの大島さんから聞いた。 「山はいつまでも待っているけれど、年齢は待ってくれない」 山を愛する大島さんが、山で出会ったベテランの登山家から聞いたという。 高齢の人の遭難のニュースは他人事ではない。あせる気持ちはわかる。だけど、山…

本の中の言葉

「『自分が死ぬって大問題じゃないか』。たいていの人はそう思っているでしょう。でも、考えたらすぐにわかるじゃないですか。『自分がしんで、なにが大変か、死んだら、それを心配する自分がいないんだから、考えたってムダじゃないか』って。」養老孟司「…

画集の中の言葉

「−現実は常に光と影の交差する非合理な場所だ。讃歌の背後には常に悲歌が流れている。その悲歌に耳を傾けることなしには、表現の仕事はありえない。古代の中国人は、それを「悒」と呼び、ロシア人は「トスカ」と称した。」 五木寛之「五木玲子画集 天の花 …

画集の中の言葉

「私の作品の最初からの変わらぬ理解者でいてくださる五木寛之氏との五十数年にわたる絆は、これまた宿縁とでもいうしかなく、わたしはやはり、偶然を必然に変える他力の大いなる風に乗せられて生きて来たのだと、しみじみ思い返してみるのです。」 五木玲子…

週刊誌の中の言葉

「ーコレクションの醍醐味は、この世に存在するものを集めて、この世に存在しないものを作り上げること。つまり、体系化です。ー」 鹿島茂 週刊文春4月26日号

小誌の中の言葉

「優れた戯曲の言葉が正確に客席に伝わり劇的な感動を生む、これが『劇場の芸術』です。優れた戯曲とはなにかといえば、『人生は生きるに値する』、『人生を生きていくことの感動』が確かに描かれているかということでしょう。」「ラ・アルプ」特別号「演出…

本の中の言葉

「わたしたちの目は、名や意味を見てしまう目である。しかし、時々はものの前に立ち止まることもある目である。そのものを見ようとするためにはその前に立ち止らなければならない。時間が要るということだ。ものも、その時間を吸収して名や意味を薄くし、姿…

対談の中の言葉

池谷「私たちは当たり前のようにモノを見ていますけれど、視覚情報を脳が『こうだろう』と思いこむ信念、強い思い込みがなければ、見えていても認識することはできません。ですから、『見る』という行為には、長い経験とフィードバックが必要なのです。」 「…

本の中の言葉

「人は自分が見てきたフイルムの記憶に導かれて、しばしば思考を構築してしまうものだと、今更ながらに気付かされたのである。ここにも神話が人間の思考に枠組みを与えてしまい、映像を通して思考を動かしてしまう例がある」 四方田犬彦「日本映画と戦後の神…

芝居の中の言葉

昨日、月蝕歌劇団の「疫病流行記」を観た。その中の記憶に残ったセリフ。「この世で一ばん小さな無人島は、自分の体」「この世で一ばん遠い場所もまた、自分自身の心臓だもんな」寺山さんの上手い比喩使いだねー。

週刊誌の中の言葉

週刊文春3月22日号「私の読書日記」池澤夏樹「−現代の都市を作っているのはガラスとアスファルトとコンクリートだが、この三つには履歴がない。一度溶解されて、つまり均質化されて固められたものだから、その内部には過去がない。ー」そうだよねー。土を…

小説の中の言葉

ポール・オースターの「幻影の書」。 「白いスーツを着た男が道をやって来たとたん、そのスーツが男をいまにもトラブルに陥れようといることを我々は悟のだ」 無声映画の喜劇役者はなぜ白いスーツを着ているのか。ということがよくわかる。映画は白いスーツ…

雑誌の中の言葉

リニューアルした「花椿」の最後のページ。 「美というものは、時に露悪で、時に卑劣で、時に淫靡で、時に畏怖であって、決して模範などではないということをーー」 マツコ・デラックスの言葉。 リアリティーあっていい。言葉って、そのものの意味以前に、発…

映画のセリフ「摩天楼を夢見みて」

ジェームズ・フォーリー監督の映画。もとが芝居だからセリフだらけ。 「人生って何だ?過去をふりかえるか未来を考えるかだ。現在はどこに?」 誰のセリフだったか覚えていない。なにしろすごいメンバー。アル・パチーノとジャック・レモンの火花のような会…

漫画の中の言葉

豊田徹也「珈琲時間」の中のセリフ。「生きるってどういうこと?」 「うーんどういうことなんだろうね やっぱり変わっていくことかな」私もそう思う。自我が持続しているという幻想は強いけれども、ありえないからねー。変わっていくから生きられるともいえ…

芝居の言葉「劇団四季・解ってたまるか!」

昨日、劇団四季の福田恆存の「解ってたまるか!」を観た。 加藤敬二は芝居うまい人だとは知らなかった。 「耳で話すな、口で話せ」 と言うようなセリフがあった。だねー。 どこかで聞いたようなことばかり話す自分に気がつくことある。 口で考え、息のような…

映画のセリフ「フォレスト・ガンプ/一期一会」

『ママは言ってた。ー過去を捨ててから前へ進みなさいーって』 「フォレスト・ガンプ」のセリフ。 確かに、過去は切り捨てないとなにも始まりませんです。はい、たしかに。(笑)

映画のセリフ「恋に落ちたシェイクスピア」

ジョン・マッデン監督の「恋に落ちたシェイクスピア」。 二人の別れのシーンで 「君を傷つけた」 というシェイクスピアに侯爵夫人となった彼女が 『私が本当に傷つくのは、あなたがペンはすてた時よ』 言われてみたいセリフ(笑)

最後は鼻?

ハムレットが叔父と再婚した母親に罵声をあびせるセリフがある。これがずっときになっている。 「−−感情がなくても目があれば、目は見えずとも、感情があれば、手や目がなくても、耳があれば、いえ、何はなくとも真偽を嗅ぎわける鼻さえあれば、たとえ狂って…

映画のセリフ「アウェイ フロム ハー君を想う」

『好きなものばかり求めちゃいけないわ、それじゃ何も見つからない』 「アウェイ フロム ハー君を想う」サラ・ポーリーが初めて監督した映画。 アルツハイマーの妻が夫に言ったセリフ。 映画のなかのセリフは字幕がぱっと消えるから正確には記録できないのが…