戯曲の中の言葉

清二 一度聞いてみたかったんだけど、なにが塩子さんの神経をおかしく したというか、さいなんだというか・・・それは、男性関係? 塩子 ・・・そうじゃないわ、・・男性じゃなかった・・・女優という仕 事よ。 清二 そんなに大変なもの? 塩子 それにむいて…

本の中の言葉

いうまでもなく「前衛」とか「実験」とは近代的な劇形式や思考方法に対しての批判であり、より根源的な演劇批判である。おそらくその思考を実践しているのは、演劇以外のパフォーマーや、他ジャンルのアーティストたちかもしれない。むしろ演劇は先端意識に…

パンフレットの中の言葉

京都の東福寺という禅寺に三門というのがあります。これは空門、無相門、無作門といって、人間が悟りを開いて心おだやかに生活するために必要な3つのくぐらなければならない門を意味します。空門は物事には実体がない、すべてうつろい易いものであると悟る…

本の中の言葉

僕は太宰治という人が好きですが、なかでも一番好きな言葉は「平家ハ、アカルイ。(中略)アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」という実朝のせりふです。 これは『右大臣実朝』の中に出てくるのですが、僕がもっとも好き…

本の中の言葉

いま、世の中を見ていると、すべてが逆な方向に進んでいるような気になることがある。あまりにも常識的な「問い」と「答え」にあふれ、実は本当に考えるべきことを考えずに、考えなくてもいいことを考えているのではないか。滑稽ですらある。 「真贋」 吉本…

本の中の言葉

もし、私の死んでいる状態が無意識や失神状態に近いものであるなら、死とはそんなに特別に恐ろしいものではない。私たちはしばしば夢一つみずに熟睡します。 こうした考察を通じて容易にわかるように、死が恐ろしいのは、失神の場合には、あとでそれを私に帰…

本の中の言葉

人間は意識して生まれてくるわけではない。生まれてきて、しかるべき時を経てはじめて世界を、そして自分自身を意識する。この空白が、恐怖の源泉なのだ。 「出生の秘密」 三浦雅士 講談社

雑誌の中の言葉

ーインドネシアなど南方系の神話は、海の彼方に異界があるという水平的な構造を持つことが多いのですが、古事記の出雲神話でも海の彼方からやってくる神がいたりして、水平的な世界感を持っています。古事記と南方系の神話とのつながりが感じられるでしょう…

本の中の言葉

ー自画像は、それぞれの画家の、自分自身を相手とした内的な劇を表すばかりではなく、彼らそれぞれにとっての世界像もおのずから示している。 「自画像は語る」 粟津則雄 新潮社

本の中の言葉

大体、男は女性関係でも仕事でも、自分の値打ちを確認したいためなんだからね、相手を替えて褒められたりするのが好きで、男の原動力は見栄と嫉妬じゃないかと思うのは、歳をとった現在の私の感想です。「蜥蜴のしっぽーとっておき映画の話」 野上照代 文藝…

詩集の中の言葉

嫉妬は必要である。老いてくると嫉妬がなくなってくるが、これが怖い。情念があれば、嫉妬とのたたかいが必ず起こってくる。これを忘れてはなるまい。こんなことを言うと多くの人に嘲笑されるかもしれないが、鈴木孝さんにもつまはじきされるかもしれないが…

週刊誌の中の言葉

ー中国では古来、詩文を大事にしたが、それらを文字として視覚化することにも大きな意味があった。天意は文字となって金属器に刻まれ、優れた詩文は記されて歴史に残った。「文章は経国の大業にして、不朽の盛事なり」と言ったのは三国時代の魏王曹丕だが、…

本の中の言葉

映画『突然炎のごとく』がパリで公開されたとき、トリュフォーはヘレン(ヘッセル未亡人としてパリに住んでいた)から、「私は映画を見て、生涯の最も美しい瞬間を生き直した心地がします」という手紙をもらった。「ぜひお会いしたいのですが」というトリュ…

本の中の言葉

ーリュミエールの数々のめずらしい作品、たとえば「列車の到着」の別の版とか、セットで撮られた「女の喧嘩」(一八九六)とか「ギーズ公の暗殺」(一八九七)などの「演出された」作品を見ることができた。リュミエールの映画が、すでに、単にキャメラにう…

映画の中の言葉

「彼を殺すか、彼を殴るか、君と別れるか。・・・。どれも、君を失う」 「君に読む物語」 ニック・カサヴェテス監督

本の中の言葉

映画史上初のヌードとして知られるジョルジュ・メリエス監督の「舞踏会の後の入浴」がーそのいかがわしさ以上に仮に美術における裸体像に相当するものとしてー1897年というのは、いかに映画=シネマトグラフの発明(1895年)から間もないとはいえ、…

本の中の言葉

「単なるノスタルジーではなく」という常套句があるように、ノスタルジーはうしろ向きと批判されることが多いが、市川準は、あえてノスタルジーにこだわる。ノスタルジーとは過去へ戻ることというよりは、あるべき過去を新たに作ることであり、それは東京の…

週刊誌の中の言葉

石井 私ね、お芝居も人生も、一番大事なのは‘甘え,を持たないことだと思うの。甘えないで、仕事や人間関係が成り立っていくのが大事。今の老人問題にしても、やっぱりある年代に来て、甘えがいっぱいあるんじゃないかって。で、私もなるべく甘えないように…

本の中の言葉

松浦ーたしかに画家は視覚性に開かれているかもしれないけれど、それ以上に反視覚的、非視覚的なもの、見えないものの領域に直面せざるをえない経験をもっています。ある何らかの目の前にあるものを写実的に描くという文脈を考えても、視覚という経験が発動…

本の中の言葉

ー舞台を「一枚の絵」と見るゲーテにとって、俳優はそのなかの「添景」である。絵画的効果を薄めることのないように、「俳優は舞台装置に近づきすぎてはならない」し、額縁内に劇が収まるためにも俳優は「前舞台にでるようなことは許されない」。俳優の身ぶ…

週刊誌の中の言葉

ー「復興の書店」(稲泉連著・小学館、1470円)は、「3・11」の大津波と福島原発事故で壊滅状態になった三陸と福島の街の本屋さんが絶望から立ち上がるまでのルポである。 これを読むと、「本は不要不急の商品」という常識が根本から崩される。全国か…

本の中の言葉

目の起源は、地球生命の場所、海においてだった。目の発生のきっかけは、行動をし始めた体に、絶えず光エネルギーが与えつづけられたことである。ゲーテが喝破したように、光という刺激が、対光器官の目を体から引き出したのである。「眼の不思議世界」 小町…

本の中の言葉

絵画の誕生について知られていることはほとんど何もない、と大プリニウスは「博物誌」第三十五巻一四で書いている。しかし、ひとつだけ確かなのは、人間の影の輪郭を初めて線でなぞったときに絵画が誕生したということである。西洋の芸術表象の誕生が「陰画…

新書の中の言葉

私が考えるいま必要な教養とは、たくさんの知識を身につけることではない。もちろん何も知らなくては困るが、もっと重要なことは、知識を自分の中で位置づけ、行動の指針となるような方向性を育てることだと思う。 「教養としての言語学」 鈴木孝夫 岩波新書

本の中の言葉

意味は、読解の対象にはならない。意味は、形姿を枠の外にはみ出させたり、迫りくる無限を使って後光を与えたり、枠を作り出す力ないしぼやけとして再度現れる。意味は、完全には諸形姿ないし諸要素の分節化ないし諸形態の構成から生じたり、結果として出て…

漫画の中の言葉

やせ我慢でなく ぼくは年をとるということは すばらしいと思う それこそ 新しい経験さ 思い出も喜びも 攻撃性も欲望も 静けさも 徐々に会得したものだ 若い日々の 行動を忘れてしまうことも 新しい経験だよ「ヘルタースケルター」 岡崎京子 祥伝社

個人詩誌の中の言葉

心木の枝が 空に向かって歩いているとしたら 心の枝はどうだろう個人詩誌「かねこと」第三号 新井啓子「心」 冒頭の部分。

文庫本の中の言葉

記録に徹した吉村氏の筆致の向こうから立ちのぼってくるのは、津波で死んだ人たちの声や,生き残ったとしてもなにも語らぬままこの世を去った人たちの声である。その人たちは、津波の恐ろしさを語るより、三陸の海の豊かさを語るようにも思われた。 彼らは「…

漫画の中の言葉

浅野すず「昼間の月ってけっこう好き なんか得した気分」 「海街diary2 真昼の月」 吉田秋生 小学館

PR誌の中の言葉

西川 映画を観た男性に「女の人が怖い」って言われたんですけれど「そう?こんなもんよ?」って思うんです。よく「可愛い」とか言って結婚した相手のことを数年後には「かみさんが怖い」って言う男の人がいますよね。勝手に騙されて勝手に怯えてるなあって思…